医療機関(医科・歯科)、薬局の健康保険の保険診療・保険調剤の算定のルールは、極めて複雑です。
社会保険研究所から、『医科点数表の解釈』、『歯科点数表の解釈』、『調剤報酬点数表の解釈』という書籍が出版されており、保険診療・保険調剤のルールを知るためには、まず参照すべきものとなりますが、辞書と言うべき記載の充実度・文量であり、これらの書籍の記載の趣旨・内容を正しく理解することには高いハードルがあると思われます。かつ、頻繁にルールの改正・修正などがあり、いったんはある程度の内容を理解したとしても、キャッチアップを怠れば、知見は古くなり、最新の保険診療・保険調剤のルールをあらためて習得することが求められます。
現実的には、まずは、該当の診療に係る診療報酬の請求の基本的なルール、骨格、概要を最初に理解し、その上で、正確な細かなルールを上記書籍などで押さえていくことが考えられます。
保険診療・保険調剤を行うのであれば、常に最新の保険診療のルール、保険調剤のルールを学び続けなければならない、ということです。
以下のコラムは、医科の診療報酬の算定、請求について、そのポイントを記載したコラムとなります。診療報酬の算定の概要を知るために、参考にすることが考えられます。
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診療録・カルテの記載、保存のルール診療録・カルテの記載、保存、診療録・カルテの保存、カルテの記載時期、カルテの記載内容の留意事項、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインの遵守について、また、電子カルテの要件などについて、説明がなされているコラムです。
医師法24条2項は、診療録・カルテについて、5年間の保存を義務付けています。さらに、療養担当規則9条は、診療録・カルテについて、完結の日から5年間の保存を義務付けています。カルテは、厚生局の個別指導において、もっとも基本的な持参物です。診療録・カルテの記載と保存について、個別指導に臨む医師は、正しく理解することが重要です。
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傷病名のカルテ記載のルール、レセプト病名傷病名の付与、診療録・カルテへの記載、レセプト病名の概要、レセプト病名の例、症状詳記などについて、説明がなされているコラムです。
傷病名は、妥当な傷病名を主治医がつけることが求められます。また、傷病名は、必要に応じ慢性・急性の区別や部位・左右を区別して診療録・カルテに記載すること、診療を開始した年月日、終了した年月日、傷病の転帰を明記することが必要です。また、適切な傷病名の整理が求められます。厚生局の個別指導において、不備を指摘されやすいところとなります。
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初診料と再診料の算定ルールのポイント初診料の算定、健康診断の取り扱い、再診料の算定、電話再診の取り扱いなどについて、説明がなされているコラムです。
初診料は、原則、医学的に初診といわれる診療行為があった場合に算定し、2以上の傷病に罹っている患者でそれぞれの傷病について同時に初診を行った場合は、初診料は1回算定します。また、傷病の診療中に別の傷病が発生した場合は、新たに初診料は算定できません。なお、患者が違和を訴え診療を求めた場合、疾病と認めるべき徴候がなくても、初診料を算定できます。
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往診料と在宅患者訪問診療料の算定ルールのポイント往診療の算定、算定上の留意点、在宅患者訪問診療料の算定、算定上の留意点について、説明がなされているコラムです。
往診料は、概要として、患者等が往診を求め、医師が患家で診療を行った場合に算定できます。定期的・計画的に赴いて診療を行った場合は算定できませんので、注意が必要です。なお、保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える往診は、その保険医療機関からの往診を必要とする絶対的な理由がある場合に認められます。
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投薬の処方箋料とリフィル処方箋の算定のポイント処方箋料の算定、算定上の留意点、リフィル処方箋の概要、リフィル処方箋の留意事項などについて、説明がなされています。
処方箋料は、保険薬局で保険調剤を受けさせるために患者に処方箋(院外処方箋)を交付した場合に、処方した剤数、投与量(日分数)等にかかわらず1回として算定できます。分割の回数は3回までとなります。複数の診療科を標榜する保険医療機関で2以上の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方について処方箋料を算定できます。
なお、以上のウェブページでは、上記1〜5のコラムに加え、様々な医科の保険診療、診療報酬の請求に関する留意事項、ポイントなどのコラムが掲載されています。